2011年 11月 23日
秘密基地と人類再建の砦 |
具体的な福島第一原子力発電所の終息行程が原子力委員会で検討され始めたため、石川先生も柔らかめの話題を提供して下さった。今までマスコミが無視してきた生き残り原発(他に東海、福島第二、福島第一5,6)の一つ、女川発電所の話題だ。
-------------------------------【以下引用】------------------------------
石川迪夫 いしかわ・みちお=日本原子力技術協会最高顧問。北海道電力工学部教授、日本原子力技術協会理事長などを歴任。原子力とその安全性が専門。77歳」
電気新聞「ウェーブ 時評 2011.11.18『女川原子力発電所』
女川原子力発電所は、原子炉3基、総出力217万キロワットの、宮城県牡鹿半島の東側、太平洋に位置する発電所である。
当然のことに、3月11日の東日本大震災の津波は、この女川発電所にも襲来した。幸い発電所の敷地方各、また外部電源も健在であったから、福島第一発電所のような災害とは無縁であった。
とはいうものの、津波による被害は甚大で、2号機原子炉建屋付属棟地下3階は海水流入で水浸しとなり、1号機タービン建屋では漏電による火災が発生した。
発電所は発電停止後の約10時間、冷温停止に至るまでの間が忙しい。地震による停止に加えて、水浸しと火災だ。発電所員は大童で、引き続く余震と津波避難勧告が発令される中、対応に奮闘していた。
その忙しい最中、100名ほどの地元女川の人達が発電所の門を叩いた。津伝書に避難させて欲しいという。小雪混じりの氷雨が降る寒い夕刻に、老人子供の混じる地元の一行であった。
今回、女川の津波被害は凄まじい。時遊民の役1割、980名が死亡または行方不明。町役場は破壊され、道路は壊れ、避難支持すら伝わらなかった。
蒼惶と集会所に身を寄せた被災者の中から、原子力発電所こそ頼るべき避難所との声があがり、揺れる山道を支え合いながら、正門に辿り着いたのだ。
9.11テロ以降、原子力発電所の入構には、事前の手続きを必要とする。だがこの緊急事態に悠長なことは言っていられない。「人命優先だ」との発電所長の断で、構内体育館に入った一行は、恐怖と寒さから解放されて人心地を取り戻したという。
以降6月6日まで、この体育館が被災者の住居となる。噂を伝え聞いて避難者は数を増し、最大360余名に至ったとか。
困ったのは食料で、震災直後とて備蓄がない。仙台本社からの輸送物資が届くまでの数日間、避難者には一日2食、発電所員は1食の定めで凌いだ。この定め、自己犠牲は尊い。崇高といえる。僕のように戦中戦後の食糧難に飢えて育った者には、身にしみる。
避難生活の中で意気上がる話は、妊娠中だった女性がヘリで仙台に運ばれ、元気な赤ちゃんを無事出産したニュースだった。だが、公共報道である皆様のNHKは、この女性の感謝や喜びは伝えず、避難瀬勝に抱く不安だけを切り出して映像を作り、放映した。
発電所と外部との連絡手段は、本社との保安電話のみであった。携帯も衛星回線も混んで使えなかった。所員の多くは家族との連絡が取れなかった。急峻な牡鹿半島の道路は、地震で破壊寸断されて、通行不能だった。
幸い、工事用の重機械が発電所内に残されていた。これを借りて、発電所員は慣れぬ道路の復旧工事に挑んだ。苦闘5日、道が拓け、女川居住の所員と交代出来た。
女川に帰った発電所員を待っていたものは、8人の仲間の家族に不幸があった知らせだった。事故と苦闘する福島第一原子力発電所員に、IAEAが与えた賛辞「己を捨て、公共への献身的奉仕」は、女川も同じだ。
10月中旬、僕が訪問した女川発電所の地面は、まだ波打ったままで残っていた。建物は継ぎ目の所々が壊れていた。だが発電施設に一歩入ると、由佳は水面のように平らで、全ては整然としていた。
牡鹿半島は、全体が1メートルほど沈んだと言う。岩盤に固着させた原子炉施設はビクともしていなかった。耐震設計は十分にその責を果たした。だが、それは構造物や強度に対してだけで、津波については、これまで耐震問題として論じてこなかった。
人知の至らなさと、経験が教える改善点を、被災した発電所の佇まいは如実に示している。
--------------------------------【以上引用終了】--------------------------------
今、脱原発を唱えていらっしゃる方々は、こうした巨大シェルター施設が人類再建の鍵となる可能性も否定するのであろうか。
私、個人(社会的バックグラウンドと便宜上関係ない一人)としては、原子力発電所の安全性は、菅内閣の犯罪的な災害拡大施策の実施により、反面的に立証されたと思う。それをどう公衆に認知していただくかが、本来の政策課題であって、マスコミを使嗾して敵と設定した電力会社と政敵を叩くことは、少なくとも我が国の為に成らないことは明らかである。
現経済産業相、前官房長官の言動からは、(左翼過激派に絡め取られている御仁から企業統治についてご高説を賜っても)保身の為の(それこそ)やらせ、田舎芝居の類しか伝わらない。
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石川迪夫 いしかわ・みちお=日本原子力技術協会最高顧問。北海道電力工学部教授、日本原子力技術協会理事長などを歴任。原子力とその安全性が専門。77歳」
電気新聞「ウェーブ 時評 2011.11.18『女川原子力発電所』
女川原子力発電所は、原子炉3基、総出力217万キロワットの、宮城県牡鹿半島の東側、太平洋に位置する発電所である。
当然のことに、3月11日の東日本大震災の津波は、この女川発電所にも襲来した。幸い発電所の敷地方各、また外部電源も健在であったから、福島第一発電所のような災害とは無縁であった。
とはいうものの、津波による被害は甚大で、2号機原子炉建屋付属棟地下3階は海水流入で水浸しとなり、1号機タービン建屋では漏電による火災が発生した。
発電所は発電停止後の約10時間、冷温停止に至るまでの間が忙しい。地震による停止に加えて、水浸しと火災だ。発電所員は大童で、引き続く余震と津波避難勧告が発令される中、対応に奮闘していた。
その忙しい最中、100名ほどの地元女川の人達が発電所の門を叩いた。津伝書に避難させて欲しいという。小雪混じりの氷雨が降る寒い夕刻に、老人子供の混じる地元の一行であった。
今回、女川の津波被害は凄まじい。時遊民の役1割、980名が死亡または行方不明。町役場は破壊され、道路は壊れ、避難支持すら伝わらなかった。
蒼惶と集会所に身を寄せた被災者の中から、原子力発電所こそ頼るべき避難所との声があがり、揺れる山道を支え合いながら、正門に辿り着いたのだ。
9.11テロ以降、原子力発電所の入構には、事前の手続きを必要とする。だがこの緊急事態に悠長なことは言っていられない。「人命優先だ」との発電所長の断で、構内体育館に入った一行は、恐怖と寒さから解放されて人心地を取り戻したという。
以降6月6日まで、この体育館が被災者の住居となる。噂を伝え聞いて避難者は数を増し、最大360余名に至ったとか。
困ったのは食料で、震災直後とて備蓄がない。仙台本社からの輸送物資が届くまでの数日間、避難者には一日2食、発電所員は1食の定めで凌いだ。この定め、自己犠牲は尊い。崇高といえる。僕のように戦中戦後の食糧難に飢えて育った者には、身にしみる。
避難生活の中で意気上がる話は、妊娠中だった女性がヘリで仙台に運ばれ、元気な赤ちゃんを無事出産したニュースだった。だが、公共報道である皆様のNHKは、この女性の感謝や喜びは伝えず、避難瀬勝に抱く不安だけを切り出して映像を作り、放映した。
発電所と外部との連絡手段は、本社との保安電話のみであった。携帯も衛星回線も混んで使えなかった。所員の多くは家族との連絡が取れなかった。急峻な牡鹿半島の道路は、地震で破壊寸断されて、通行不能だった。
幸い、工事用の重機械が発電所内に残されていた。これを借りて、発電所員は慣れぬ道路の復旧工事に挑んだ。苦闘5日、道が拓け、女川居住の所員と交代出来た。
女川に帰った発電所員を待っていたものは、8人の仲間の家族に不幸があった知らせだった。事故と苦闘する福島第一原子力発電所員に、IAEAが与えた賛辞「己を捨て、公共への献身的奉仕」は、女川も同じだ。
10月中旬、僕が訪問した女川発電所の地面は、まだ波打ったままで残っていた。建物は継ぎ目の所々が壊れていた。だが発電施設に一歩入ると、由佳は水面のように平らで、全ては整然としていた。
牡鹿半島は、全体が1メートルほど沈んだと言う。岩盤に固着させた原子炉施設はビクともしていなかった。耐震設計は十分にその責を果たした。だが、それは構造物や強度に対してだけで、津波については、これまで耐震問題として論じてこなかった。
人知の至らなさと、経験が教える改善点を、被災した発電所の佇まいは如実に示している。
--------------------------------【以上引用終了】--------------------------------
今、脱原発を唱えていらっしゃる方々は、こうした巨大シェルター施設が人類再建の鍵となる可能性も否定するのであろうか。
私、個人(社会的バックグラウンドと便宜上関係ない一人)としては、原子力発電所の安全性は、菅内閣の犯罪的な災害拡大施策の実施により、反面的に立証されたと思う。それをどう公衆に認知していただくかが、本来の政策課題であって、マスコミを使嗾して敵と設定した電力会社と政敵を叩くことは、少なくとも我が国の為に成らないことは明らかである。
現経済産業相、前官房長官の言動からは、(左翼過激派に絡め取られている御仁から企業統治についてご高説を賜っても)保身の為の(それこそ)やらせ、田舎芝居の類しか伝わらない。
by Real-Kid
| 2011-11-23 23:22
| パッケージソフト雑感